周平君の大冒険

院長の金子です。

 

今年の旅行で、肝の冷えるような出来事がありましたので、それをご紹介しますね。因みに我が家の家族構成は、①愛妻、直子さん(年齢は…内緒。金のわらじを履いて探した姉さん女房なのです)。②8さいの長男、竜士(りゅうじ)くん。③6さいの長女、雛(ひな)ちゃん。④2さいの次男、周平くん。⑤私。の5人家族です。それから、三浦三崎に、美容師の母がひとり暮らしをしておりまして、毎年、お盆に家族で帰ります。

 

竜士の誕生日が8月15日の終戦記念日なので、母がごちそうを作って、ケーキを買って、手ぐすね引いて待っているとのメール。再三「おなかを空かせてくるように!」と念押しがあり、腹ぺこでいざ実家へ。いつものように横横から三浦縦貫道。渋滞もなく、気持ちいいドライブになった。母の家が近づくと、気味の悪い事があった。母の家にほど近い、狭い三叉路。日に焼けた、みすぼらしい中年の男がとぼとぼと歩いている。車を避けようともしない、ふてぶてしい態度。スピードを下げて、ゆっくりとすれ違うとき、車内を覗きながら「可愛い子がいるなぁ…」ニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべ、呟いたのだ。

ぞぞぞ…

私は悪寒が走り、妻と顔を見合わせて、「気味の悪いオヤジがいるなぁ」と苦笑いした。家に着くなり、娘が「お買い物に行きたい」とおねだり。妻は娘とふたりでお買い物に。その直後、事件が勃発。

 

母はご馳走を作ろうとお勝手。妻は娘とお出かけ。私は竜士とiPadでガリバー旅行記を見ていた。

あれっ?なんか、静か…。

母が叫ぶ。「徹、周平がいない!」

慌てた母は携帯も持たずに飛び出した。案外家の中にいるかもと、まずは家の中を探索。しかし、見あたらない。そして玄関に周平専用麦茶のボトルが置いてあり、靴もなかった。「こりゃあ外だな…」竜士と一緒に周辺を探す。叫ぶ!「周平!!!」しかし見あたらない。ひとりぼっちを極端にいやがるので、辺りにいたら泣いているはずなのに、泣き声も聞こえない。こんなに遠くまでは行かないだろうというところまで探してもいない。行きがけに通りがかった、気味の悪いおじさんを思い出す。「可愛い子がいるなぁ」繰り返し襲ってくる嫌な予感を拭いながら、走る。叫ぶ。「周平!!」そんなときに、竜士がなにげなく言った。「あのおじさんに連れて行かれちゃったんじゃないかな?」肺腑を抉られたような気持ちになり、自分がほとんど泣いていることに気づいた。「竜士、滅多なことを言うんもんじゃねぇぞ。見つかるまで、一緒に探そう」「うん…。ごめん」「いや、いいんだ。お母さんにも手伝ってもらおう」買い物に出かけた妻に電話。「周平がいないんだ!すぐに戻って来てくれ」妻に連絡して、いちど家に帰ることに。

 

すると母が戻ってきていて、ひとりで歩いている周平らしき子供を見かけた人が、近所にいたという。私と竜士が探したのとは反対方向だった。そしてそれは、よりによって、あのオヤジとすれ違った方向だった。嫌な予感はいつまでも拭いきれないでいる。なぜひとりで出て行っちゃったんだ?周平。ひとりで寂しいだろう?なぜ泣き声が聞こえない?周平、お父さんは、お前なしじゃ、生きていかれないよ。心の底から、息子のことを愛おしいと思った。「くそっ!周平、無事でいろよ!」祈るような気持ちで探す。走る。呼ぶ。道が二手に分かれたので、母と分かれて探すことになった。しかし、結局見つからず、家に戻った。妻と娘も戻ってきており、事態の深刻さを察して、涙を浮かべていた。


 

どれくらい探しただろう?私たちはとうとう、警察に電話する事にした。「事件ですか?事故ですか?」と警察の方に聞かれたその時!母の声。「いた、いた、いたよ〜!」警察の方にお礼を言い電話を切る。

 

妻が、堰を切ったように泣き、周平に「なんで一人でいなくなったの!」と咎めてしまいそうになった。それを見た母がそれを手で制し、「この子を責めるのはよそう。責任はこの子をひとりぼっちにした、私たちにある。まず、私たちが改めなければ」と重い母の一言。本当に、その通りだ。それにしても、本当に見つかって良かったし、いるのが当たり前になってしまっていた息子の存在の尊さを、再認識。感謝。

 

感謝の反対語は「当然」であると、何かの本で読んだことがある。最初違和感があり、「あれっ?」と思ったが、「当然」は「当たり前」という意味だし「感謝」は「有難い(当たり前じゃない)」という意味だから、確かにそうだ。つまり、「それは当たり前だ」と感じてしまうと、感謝できなくなってしまうという事なんだろう。私にとって「当たり前」になってしまっていた家族の存在が、「ありがたい」存在であると再認識できた、忘れられない真夏の事件でした。周平君はひょっとしたら、パパに家族の大切さを教えてくれるために、勇気を出して大冒険してくれたのかもしれないね? 了。


 


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